2026/01/16 20:55


「この魚、新鮮ですか?」

魚を買うとき、誰もが一度は思う疑問です。

実は、水産業界では魚の鮮度を感覚ではなく数値で表す指標があります。

それが K値(ケーち) と呼ばれる鮮度指標です。

この記事では、

魚に詳しくない方でも理解できるように

K値を噛み砕いて解説します。


■ K値とは何か?一言で言うと

K値とは「魚が死んでから、どれだけ時間が経ち、どれだけ劣化が進んだか」を示す数値です。

しかも、

  • 見た目

  • におい

  • 触った感触

では分からない 「身の中の変化」 を数値で示します。


つまりK値は、

魚の中身の鮮度を表す“成績表”

のようなものです。


■ なぜ魚は時間とともに劣化するのか

魚は水揚げされた瞬間から、体の中で変化が始まります。

魚の筋肉には ATP(エーティーピー) というエネルギー物質があり、

これが時間とともに分解されていきます。

ATPの分解の流れ

ATP

ADP

AMP

IMP(旨味成分)

イノシン

ヒポキサンチン(生臭さの原因)


この分解がどこまで進んだかを数値化したものがK値 です。


■ K値が低いほど新鮮、高いほど劣化

K値は 0〜100% で表されます。

K値

鮮度の目安

状態

0〜10%

極めて新鮮

活け締め直後・刺身最高

10〜20%

新鮮

刺身向き

20〜40%

普通

加熱調理向き

40%以上

劣化

生食は避けたい

スーパーで売られている刺身は、

K値20%以下 が理想とされています。


■ 見た目が良くてもK値は高いことがある

重要なポイントはここです。

見た目がきれい = 新鮮 とは限らない

  • 色は赤い

  • においは少ない

  • ドリップも出ていない


それでも、

  • 血抜きが不十分

  • 温度管理が悪い

  • 締めが遅れた

場合、K値は高くなります。


つまり、

K値はプロが「本当に信用する鮮度指標」

なのです。


■ なぜ活け締め・血抜きが重要なのか

活け締め・血抜き・神経締めを行うと、

  • ATPの分解がゆっくり進む

  • 雑菌の繁殖が抑えられる

  • 生臭さが出にくい


結果として、

K値の上昇が遅くなる=鮮度が長持ち

します。


高級魚ほど締め処理が重視されるのは、このためです。


■ 養殖魚はK値が安定しやすい?

実は 養殖魚はK値管理がしやすい という特徴があります。


理由は、

  • 出荷タイミングを管理できる

  • 締め処理を計画的に行える

  • 輸送温度が安定


そのため、

  • 寿司店

  • 百貨店

  • 高級スーパー


では 養殖魚=品質が安定 と評価されることが多いのです。


■ 一般の人はK値をどう活かせばいい?

残念ながら、

K値はラベルに表示されていません。


しかし、K値の考え方を知ることで

「鮮度の高い魚」を選びやすくなります。


● K値が低そうな魚の特徴

  • 活け締め表示がある

  • 血合いが黒ずんでいない

  • ドリップが少ない

  • 過剰に安売りされていない

  • 水揚げ日・産地が明確


「処理が丁寧な魚ほどK値は低い」

と覚えておくと失敗しません。


■ まとめ:K値は“魚の履歴書”

K値とは、

魚が「どんな扱いを受けてきたか」を表す数値です。

  • 締めが早かったか

  • 血抜きは適切か

  • 温度管理は守られたか


それらすべてが、

K値として結果に現れます。


魚を見る目が変わると、

買い物も、食事も、

確実にレベルアップします。