2025/12/25 10:02

豊洲市場は日本のマグロ文化の中心地。

毎朝5時台に行われるマグロの競りには、国内外から選り抜きの本マグロが集まり、プロの仲卸たちが“目利き”で最高の1本を見抜いていきます。

この記事では、水産のプロの視点から 「豊洲でマグロを選ぶポイント」 をわかりやすく紹介します。

お客様へ説明したい店舗様、EC販売者、飲食店、そして一般の方にも役立つ内容です。




■ まず豊洲市場のマグロは大きく2種類

(画像:天然マグロと養殖マグロの比較)

豊洲市場のマグロは、大きく「天然」と「養殖」に分かれます。

● 天然本マグロ

  • 季節・漁場により品質や脂の乗りにバラつきあり

  • 最高レベルは年末年始の“寒マグロ”

  • 赤身の旨みが強い

● 養殖本マグロ

  • 年間を通して品質が安定

  • 脂がしっかりのって、トロが厚い

  • スーパー・寿司店で人気が高い


どちらを選ぶかは用途次第ですが、飲食店や通販なら 安定した養殖、赤身好きのファンが多い場合や季節性を売りたい時は 天然 が向いています。


■ プロが見る「尾切り」のチェックポイント

(画像:マグロの尾切り部分を並べて確認している様子)

豊洲市場で最も重要なのは 尾切り(尻尾の一部を切り落とした断面)

仲卸はこの断面だけで脂・鮮度・身質を判断します。


▼ 尾切りを見る3つのポイント

① 色

  • 鮮やかな赤色 → 血抜きが良く鮮度が高い

  • 茶色・黒ずみ → 酸化している可能性

② 脂の入り(サシ)

  • 霜降りのような白い筋が均一 → トロが美味しい

  • 脂が偏っている → 食味にムラ

③ 繊維の締まり

  • キュッと締まった繊維 → 身崩れしにくく上質

  • ゆるい繊維 → 旨みが落ちることが多い


尾切りの見方を覚えるだけでも、マグロを見る目は大きく変わります。


■ 触っても分かる「良いマグロ」

(画像:仲卸がマグロの身を指で触って確かめるシーン)

実際の豊洲では、仲卸は「触り」で品質を判断することもあります。


● 触りで分かるポイント

  • 表面がヌルヌルしていない(粘りは劣化サイン)

  • 身に弾力がある

  • 水っぽい感触はNG(ドリップが多い可能性)

  • 酸化していれば、指先が乾いたような手触りになる


特に 水っぽさ は味に直結するため、プロは非常に重視しています。


■ 赤身・中トロ・大トロの“色と質感”で選ぶ

(画像:赤身・中トロ・大トロを横並びにした断面)

マグロは部位ごとに見極めポイントが異なります。

● 赤身

  • 鮮やかなルビー色が最上

  • 黒ずみや褐色は避ける

  • 繊維がしっかりしているものが旨い

● 中トロ

  • 脂と赤身が均等に混ざっている

  • 白い部分が多すぎると“大トロに近く重い味”になる

● 大トロ

  • 脂の粒が細かくキメがあるもの

  • ベタつきが強いもの、黄色っぽい脂は避ける

  • 白すぎる大トロは、実は劣化が早い


特に 大トロは“白ければ良い”ではない のがポイント。

適度な赤が混ざっているほうが風味のバランスが良いです。


■ プロが狙う「産地と時期」

(画像:漁場地図と旬の本マグロ)

豊洲市場では、マグロの品質は産地と時期で大きく変わります。

● 天然本マグロの旬

  • 冬(12〜2月):青森・大間、北海道

  • 初夏(6〜7月):長崎・五島・壱岐

  • 秋(9〜11月):宮城・三陸

● 養殖本マグロの強み

  • 年間を通して安定

  • 鹿児島(奄美)、長崎、三重が有名産地

  • ブランド化も進んでおり、脂質が一定


飲食店が豊洲で仕入れる場合は 季節の天然 × 通年の養殖 を組み合わせるケースが多いです。


■ 豊洲市場のプロが重視する「値決めのポイント」

(画像:競り人が価格を決める様子)

マグロの値段は見た目や質だけでなく、

“用途に合うかどうか” が非常に重要です。


▼ 仲卸が特に気にする点

  • 寿司か、焼き物か、刺身盛りか

  • 赤身比率が欲しいのか、トロ比率が欲しいのか

  • 1本の歩留まり(どれだけ取れるか)

  • 色もち(酸化しにくさ)


例えば寿司店は「色もち」を最重視しますが、海鮮丼店なら歩留まりと単価が重要です。


■ 一般の人が買うときの“簡単な選び方”

プロと同じ目利きは難しくても、これを押さえれば失敗しません。

● 基本の5か条

  1. 切り口が鮮やかで濁りがない

  2. ドリップ(赤い汁)が少ない

  3. 脂がべたついていない

  4. 筋が少なく、繊維が均一

  5. 産地と時期を確認する


特に「ドリップが多いもの」は味の劣化が進んでいます。

迷ったら 色が良くて水分が出ていないもの を選ぶとハズレません。


■ まとめ:豊洲のマグロは“選べば必ず美味しい”

豊洲市場には日本最高レベルの本マグロが集まります。

しかし、同じ日に並んだマグロでも品質は千差万別。

正しい選び方を知れば、一般の方でも「良いマグロ」を選ぶことができます。

  • 尾切りの色と繊維

  • 脂の入り方

  • 触り

  • 産地と旬

  • 用途との相性

これらを意識するだけで、仕入れも家庭用の購入も間違いなくレベルアップします。